「芸者」について
私達芸者は、舞いや三味線をはじめとする様々な芸を身に付け、お座敷で披露し、お客様にその芸や会話をお楽しみいただくことを仕事としています。
そして、芸者のいる街や、置屋や料亭のある街のことを花柳界(かりゅうかい)と呼びます。
東京には現在、赤坂・浅草・神楽坂・新橋・芳町・向島の合わせて六つの花柳界(六花街)がございます。
東京を中心とする関東地方 では芸妓を「芸者」、見習いを「半玉(はんぎょく)」と呼び、向島には現在八十数名の芸者衆が見番に登録しております。
私は二十歳の時にご縁があってこの花柳界にまいりましたが、芸者さんはどんなお仕事をするのだろうか?と右も左も分からない状態から芸者の道へ進みました。
芸者はおもてなしの達人であり、日本の伝統文化を守り伝えていくArtistであり、海外からのお客様も増えている昨今、日本の文化を世界に、そして後世に伝えていく大きな役割を持っていると思います。
しかし、全国各地にあった花柳界も料亭も芸者衆の数も時代と共に減り、後継者が不足しているのが現状です。
このHPをご覧になってお座敷に上がってみたい、また芸者の仕事に興味があるという方は、是非ご連絡いただけたら嬉しいです。
花柳界豆知識
◉ 置屋(おきや)
芸妓さんの所属する事務所で、芸能プロダクションのようなところです。
置屋のおかあさんが芸者さんの教育、着物等の準備、仕事の手配等全てのお世話をします。
芸者さん一人のみの置屋さんから何十人もの芸者衆が所属する大きな置屋もあり、向島には現在約四十の置屋があります。
◉ 見番(けんばん)
料亭への芸妓の手配、芸者衆のためのお稽古の手配、花柳界の全ての置屋と料亭の取りまとめ等をしているところです。
向島の芸者衆は八十名ほどおりまして、見番に全芸者衆の名前の木札がかかっています。この木札を見ると、それぞれの芸者衆が本日どの料亭にいるか分かるようになっています。
また見番には芸者のお稽古部屋と舞台もあります。こちらにお師匠さんがお見えになり、稽古をつけていただいています。また見番の舞台を使って、日頃の稽古の成果を見ていただくための勉強会等も開催しています。
◉ 芸者/半玉(はんぎょく)
関東地方では芸妓を「芸者」、見習い(京都でいう舞妓さん)を「半玉(はんぎょく)」と呼びます。昔は見習いさんの玉代(お花代)が一本(一人前)の芸妓さんの半分だったことから、このように呼ばれるようになったと言われています。
向島を始め、京都以外の街では、法により十八歳以上にならないと、こういったお酒の席に出ることは出来ません。京都に比べると少し遅い、十八〜二十三歳頃までを半玉として修行し、芸者になるというのが一般的です。
現在、東京で一番芸者の数が多いと言われている向島でも半玉は数名しかおらず、どの街でも半玉のなり手がいないというのが現状です。
◉ 芸妓(げいこ)/舞妓(まいこ)
京都では、団子を提供する水茶屋で働く茶立女(ちゃたておんな)が歌舞伎芝居を真似て三味線や踊りを披露するようになり、これが芸妓、舞妓の始まりとされています。
舞妓は京都特有の呼び方で、通常、中学を卒業して、十五,六歳で住み込みで置屋さんにお世話になり、二十歳頃に舞妓から芸妓へ襟替えをします。
芸妓になると、年齢制限や定年もなく、80歳代の現役のお姐さんもチラホラと…!
京都では、祇園/先斗町/上七軒/宮川町/祇園東の五つの花街があり、有名な都おどりや鴨川おどりなど、京都の名物となっています。
◉ 地方(じかた)
三味線・唄・鳴り物・笛などを担当する芸妓さんのこと。
◉ 立方(たちかた)
踊りを担当する芸妓さんのこと。
◉ 花代(はなだい)/玉代(ぎょくだい)
芸妓さんを呼んで、お座敷遊びを楽しむための料金のこと。
置屋「千石」について
2016年3月より置屋「千石」として独立致しました。
向島墨堤組合(向島見番)に所属しており、向島のお座敷へ上がらせていただいております。置屋「千石」でも芸事や日本文化に興味がある方や、着物を着てお仕事がしたいという方など随時募集しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さいませ。